BMW i8の中古がなぜ安いか判明!値崩れの理由と将来性をプロが解説

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未来的なデザインで人々を魅了し続けるBMW i8。かつて2000万円を超えた新車価格を思えば、現在の中古価格には誰もが驚くことでしょう。多くのBMW中古モデルの中でも、このi8の価格下落は特に顕著です。

一体、BMW i8の中古車はなぜ安いのでしょうか。その背景には、生産終了という事実や、一部でささやかれる不人気といった単純な理由だけでは語れない、複雑な事情が隠されています。

この記事では、価格の核心にある高額なバッテリーの交換費用や、厳しい維持費といった具体的なデメリットを徹底解説します。

さらに、この車は何年乗れるのかという寿命に関する疑問から、実際に乗ってる人の年収に見るオーナー像、リスクを避ける認定中古車の選び方まで、あなたの知りたい情報に迫りました。i8を手に入れて後悔しないために、ぜひ最後まで読み進めてみてください。

記事のポイント
  • 高額な維持費とバッテリー交換のリスク
  • 特殊すぎるコンセプトと限定的な需要
  • 実用面のデメリットと賢い中古車の選び方
  • コレクターカーとしての希少性と将来価値

BMW i8の中古はなぜ安い?価格を左右する理由を解説

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  • 2000万円超えの新車価格と今の中古価格の衝撃
  • 最大の要因!バッテリー交換費用と高額な維持費
  • 不人気という噂の真相は?特殊すぎるコンセプト
  • i8の生産終了 理由が中古価格に与える影響
  • i8だけじゃない!BMW中古がなぜ安いかの共通点

2000万円超えの新車価格と今の中古価格の衝撃

BMW i8の中古車がなぜこれほどまでに注目されるのか、その最大の理由は新車時と現在の中古価格との間に存在する、あまりにも大きな価格差にあります。結論から言うと、かつては一部の富裕層にしか手の届かなかった高級スポーツカーが、今や現実的な選択肢として検討できるレベルまで値下がりしているのです。

この背景を理解するためには、まずi8が登場した当時の状況を振り返る必要があります。2014年にデビューしたi8クーペの車両本体価格は、実に2,100万円を超えていました。これは、他のメーカーの高性能なスポーツカーと肩を並べる、まさにスーパーカー級の価格設定です。限定生産された特別仕様のモデルに至っては、さらに高額なプライスが付けられていたのです。

ところが、現在の市場に目を向けると、その状況は一変しています。中古車情報サイトのカーセンサーなどで在庫を検索すると、驚くべきことに、走行距離や年式によっては600万円台から800万円台で販売されている物件も少なくありません。もちろん、車両の状態や保証の有無によって価格は変動しますが、新車価格の半額以下、場合によっては3分の1近い価格でこの未来的なデザインの車種が手に入る可能性があるわけです。

このように言うと、何か大きな問題があるのではないかと勘ぐってしまうのも無理はないでしょう。しかし、この衝撃的な価格の下落こそが、「BMW i8 中古 なぜ安い」という検索キーワードの背景にある人々の純粋な好奇心と関心を物語っています。多くの車好きにとって、この価格差はi8の持つ魅力とリスクを天秤にかける、興味深いテーマとなっているのです。

●BMW i8:2019年10月 発売モデル
項目 内容
クーペ (クーペ・スポーツ・スペシャリティ)
グレード名 クーペ
型式 CLA-2Z15U
排気量 1498cc
ドア数 2
シフト 6AT
駆動方式 フルタイム4WD
定員 4名
燃費 15.9km/l
車両重量 1590kg
全長×全幅×全高 4690×1940×1300mm
価格 21,350,000円
ロードスター (オープン・カブリオレ・コンバーチブル)
グレード名 ロードスター
型式 CLA-2Z15U
排気量 1498cc
ドア数 2
シフト 6AT
駆動方式 フルタイム4WD
定員 2名
燃費 15.9km/l
車両重量 1650kg
全長×全幅×全高 4690×1940×1290mm
価格 22,760,000円
クーペ アルティメット ソフィスト エディション (クーペ・スポーツ・スペシャリティ)
グレード名 クーペ アルティメット ソフィスト エディション
型式 CLA-2Z15U
排気量 1498cc
ドア数 2
シフト 6AT
駆動方式 フルタイム4WD
定員 4名
燃費 15.9km/l
車両重量 1590kg
全長×全幅×全高 4690×1940×1300mm
価格 23,120,000円
ロードスター アルティメット ソフィスト エディション (オープン・カブリオレ・コンバーチブル)
グレード名 ロードスター アルティメット ソフィスト エディション
型式 CLA-2Z15U
排気量 1498cc
ドア数 2
シフト 6AT
駆動方式 フルタイム4WD
定員 2名
燃費 15.9km/l
車両重量 1650kg
全長×全幅×全高 4690×1940×1290mm
価格 24,530,000円

最大の要因!バッテリー交換費用と高額な維持費

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スポカーラボ・イメージ

前述の通り、BMW i8の中古車価格は非常に魅力的ですが、その安さの裏には明確な理由が存在します。中古価格を押し下げている最大の要因、それは購入後に発生しうる高額な維持費、とりわけ駆動用バッテリーの交換にかかる莫大な費用への懸念にあると言えるでしょう。

i8は、エンジンと電気モーターを組み合わせた先進的なプラグインハイブリッドシステムを採用した車両です。このシステムの心臓部とも言えるリチウムイオンバッテリーは、残念ながら永久に使えるわけではなく、スマートフォンのバッテリーのように時間とともに劣化していきます。そして、もしこのバッテリーが寿命を迎え交換が必要になった場合、その費用は一般的な車の修理代とは比較になりません。

具体的には、バッテリーの交換費用として150万円から200万円、あるいはそれ以上かかると言われています。一部の情報では700万円を超えるとの指摘もあり、これは中古車の本体価格に匹敵するか、それを上回ってしまうほどの高額なコストです。この金銭的なリスクが、中古車を購入しようとする多くの人々の心理的なブレーキとなり、結果として市場価格を大きく引き下げる圧力となっているのです。

また、懸念すべきはバッテリーだけではありません。i8のボディには軽量なカーボン素材が多用されており、万が一の事故で修復が必要になった際の修理費も高額になる可能性があります。

加えて、特殊なサイズのタイヤや専用部品のコスト、さらには車検や法定整備にかかる費用も、国産車や他のBMWモデルと比較して割高になる傾向があります。このように、購入後の維持費全体が大きな負担となる可能性を秘めているため、中古市場では買い手が慎重になり、価格が安くならざるを得ない状況が生まれているのです。

不人気という噂の真相は?特殊すぎるコンセプト

BMW i8を調べていると、「不人気」という言葉を目にすることがあるかもしれません。しかし、これは単純に人気がなかったと片付けるには少し早計です。むしろ、i8のコンセプトがあまりにも先進的かつ特殊であったため、ターゲットとなる層が極めて限定的だった、と考えるのが実情に近いでしょう。

その理由は、i8が持つ二面性にあります。エクステリアデザインは、誰もが振り返るようなスーパーカーそのものです。低く構えたボディに、劇的な印象を与えるシザードア。ところが、そのボンネットの下に収められているのは、大排気量のエンジンではなく、1.5リッターの直列3気筒ターボエンジンと電気モーターなのです。

この「環境に配慮したスーパーカー」という革新的なコンセプトこそが、i8の最大の魅力であり、同時に評価を難しくしている要因でもあります。

例えば、純粋なスポーツカーを求める層から見れば、i8の性能は少々物足りなく映る可能性があります。スピーカーから流れる演出されたエンジンサウンドや、モーターアシストによる滑らかな加速は、伝統的なガソリンエンジンの持つ荒々しい魅力とは異なります。一方で、実用性を重視する層にとっては、乗り降りに気を使うドアの構造や、大人が快適に過ごすには狭すぎる後部シート、そして決して広いとは言えない荷室スペースがデメリットとなります。

結果として、この車を新車で購入したのは、BMWの先進的な技術や他に類を見ないデザインに価値を見出す、ごく一部の富裕層やアーリーアダプターが中心でした。彼らは常に新しいものを求めるため、中古車市場で同じモデルを探すことは稀です。

このように、i8は万人に評価されることを目指した車種ではなく、その唯一無二のコンセプトを深く理解し愛せる、ニッチなファンに向けたモデルだったのです。この特殊性が、中古市場での需要を限定的にし、価格に反映されていると考えられます。

i8の生産終了 理由が中古価格に与える影響

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BMW i8が2020年をもって生産終了したという事実は、中古車としての価格に直接的な影響を及ぼしています。生産が終わったモデルは、一般的にその価値の方向性が二極化する傾向にありますが、i8も例外ではありません。現在の価格下落は、この生産終了がもたらす将来的なリスクへの懸念が強く反映された結果と言えるでしょう。

その主な理由として、専用部品の供給に対する不安が挙げられます。i8は、他のBMWモデルと共有していない特殊な部品や、先進的なプラグインハイブリッドシステムを数多く搭載した車両です。生産が終了してから年月が経過するにつれて、これらの専用部品の在庫が減少し、入手が困難になったり、価格が高騰したりする可能性があります。

万が一の故障や事故の際に、修理が長期間にわたったり、莫大な費用が発生したりするリスクを考慮すると、購入に踏み切れないと考える人が増えるのは自然なことです。このような維持に対するハードルの高さが、中古市場での需要を限定的にし、価格を下げる大きな要因となっています。

一方で、生産終了は必ずしもネガティブな側面だけではありません。i8の総生産台数は世界で約2万台強とされており、この台数で打ち止めとなったことで、逆に「希少性」という新たな価値が生まれつつあります。

他に類を見ない未来的なデザインと、BMWの技術の粋を集めた革新的なモデルであったことは紛れもない事実です。時間が経ち、状態の良い個体が少なくなっていく中で、自動車史におけるユニークな一台として再評価され、コレクターズアイテムとしての価値が高まる可能性も秘めています。

このように、i8の生産終了は、短期的には維持への不安から価格を押し下げる方向に作用していますが、長期的には希少価値によって価格が上昇に転じる可能性も否定できません。現在の中古車価格の安さは、この過渡期ならではの現象と捉えることもできるのです。

i8だけじゃない!BMW中古がなぜ安いかの共通点

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BMW i8の劇的な価格下落に驚かれるかもしれませんが、実は新車価格と比較して中古車がリーズナブルになるのは、i8に限った話ではなく、多くのBMWの車種に共通して見られる傾向です。これには、BMWというメーカーが持つブランド力や市場での立ち位置が大きく関係しています。

その背景にある一つ目の理由は、中古車市場における豊富な供給量です。BMWは世界的に非常に人気の高いメーカーであり、日本国内でも年間を通じて安定した販売台数を記録しています。特に3シリーズや5シリーズといった主力モデルは、初回車検のタイミングなどでリース車両や下取り車が中古車市場へ大量に流入します。

経済の原理として、供給が需要を上回れば価格は安定、もしくは下落する傾向にあります。このように、いつでも一定数の在庫から選べるという状況が、希少性を高めず、結果として中古車価格を落ち着かせる要因となっているのです。

そしてもう一つの理由は、輸入車全般に言える「維持費への懸念」です。前述の通り、i8の維持費は特に高額ですが、他のBMWモデルであっても、国産車と比較すれば部品代や整備費用、車検コストなどが高くなるのは事実です。例えば、エンジンオイルの交換一つをとっても、使用するオイルの規格や量、工賃が異なります。

この「購入後のコストが心配」という心理が、中古車を選ぶ際のひとつのハードルとなり、幅広い層からの需要を若干抑えることにつながります。

これらの理由から、BMWの中古車は、その卓越した走行性能やブランドイメージの高さに反して、比較的お求めやすい価格帯で流通することが多いのです。見方を変えれば、これは高品質なドイツ車を賢く手に入れる絶好のチャンスが、市場には常に存在しているということでもあります。

BMW i8の中古はなぜ安い?その上で考える購入ガイド

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  • 後悔しないために知るべき具体的なデメリット
  • BMW i8は何年乗れる?寿命と長く乗る秘訣
  • リスクを避ける賢い選択肢、BMW認定中古車
  • i8に乗ってる人の年収は?所有できるオーナー像
  • 値崩れの先に見える?i8のコレクターカーとしての将来性

後悔しないために知るべき具体的なデメリット

BMW i8はその未来的なデザインと価格の安さから非常に魅力的に映りますが、購入後に「こんなはずではなかった」と後悔しないためには、その裏に隠された具体的なデメリットを事前にしっかりと理解しておくことが極めて重要です。この車が持つ特殊性は、日常の使い勝手や走行性能の面で、一般的な乗用車や他のスポーツカーとは大きく異なるためです。

まず、日常的に使用する上でのハードルがいくつか存在します。最も象徴的なのが、スーパーカーのようなシザードアです。見た目のインパクトは絶大ですが、開閉にはドアの厚み以上に横方向のスペースが必要となります。このため、日本の一般的な駐車場の枠内では、隣の車両にぶつけないよう常に細心の注意が求められるでしょう。

乗り降り自体も、低いシートに体を滑り込ませるような動作が必要で、決して手軽とは言えません。さらに、収納スペースの乏しさも大きなデメリットです。後部座席は書類や小さなバッグを置くのが精一杯で、大人が長時間座ることは実質的に不可能です。荷室の容量も非常に限られており、旅行やゴルフといった趣味に使うのは難しいかもしれません。

一方で、走行性能にも独特の個性があります。搭載されているのは1.5リッターの3気筒ターボエンジンであり、多くの人がスポーツカーに期待するような、腹に響く重低音の排気サウンドは望めません。車内で聞こえる勇ましい音はスピーカーによる演出であり、この点を「本物ではない」と感じる方も少なくないのです。

また、電気モーターだけで走行できるEVモードも、エアコンの使用状況や運転スタイルによってはカタログ値よりも短くなることが多く、長距離の移動ではエンジンが主役となります。このように、i8は日々の足として使うには多くの割り切りが求められる一台です。このデメリットを受け入れ、非日常的なドライブ体験を味わうための特別な車として捉えることが、満足のいくカーライフを送るための鍵となります。

BMW i8は何年乗れる?寿命と長く乗る秘訣

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中古でi8の購入を検討する際、「この車は一体、何年くらい乗れるのだろうか」という寿命に関する疑問は、避けて通れないテーマです。この問いへの答えは、「適切なメンテナンスと乗り方を前提とすれば10年以上の長期保有も可能だが、そのためにはいくつかの重要な秘訣がある」となります。i8の寿命は、機械部分だけでなく、この車を構成する先進的な電子システム、特に駆動用バッテリーの状態に大きく左右されるからです。

車両の寿命を考える上で最も重要なパーツは、やはり駆動用のリチウムイオンバッテリーでしょう。前述の通り、このバッテリーの交換には莫大な費用が発生するため、バッテリーの寿命が実質的な車両の寿命を決定づけると言っても過言ではありません。一般的に7年から10年が寿命の目安とされていますが、これはあくまで目安です。頻繁に充放電を繰り返したり、バッテリー残量が極端に少ない状態で放置したりすると、劣化は早まる可能性があります。

しかし、i8を構成するのはバッテリーだけではありません。1.5リッターのエンジン自体は、BMWの他のモデルにも採用実績のあるユニットがベースとなっており、信頼性は決して低くないのです。定期的なオイル交換といった基本的なメンテナンスを怠らなければ、エンジン部分は長く性能を維持してくれるでしょう。

長く乗り続けるための秘訣は、何よりもまず、i8のような特殊なハイブリッド車を安心して任せられる、経験豊富な整備工場やディーラーを見つけることです。そして、日頃からバッテリーに負担をかけない穏やかな運転を心がけ、長期間乗らない場合はバッテリーのコンディションを維持する充電器を利用するなど、オーナー自身の愛情と知識が求められます。

走行距離が短くても、年数に応じた定期点検をしっかりと行い、消耗品を適切なタイミングで交換していくこと。こうした地道な積み重ねこそが、大きなトラブルを未然に防ぎ、i8と長く付き合っていくための最良の秘訣なのです。

リスクを避ける賢い選択肢、BMW認定中古車

これまで解説してきたように、BMW i8の中古車にはバッテリーの高額な交換費用や特殊な構造ゆえの修理リスクが伴います。こうした不安を可能な限り取り除き、安心して未来のカーライフを楽しむための最も賢い選択肢、それが「BMW認定中古車」です。一般的な中古車販売店の物件と比べ、メーカー自身のお墨付きが与えられた車両には、価格以上の価値があります。

BMW認定中古車がなぜ賢い選択と言えるのか、その理由はメーカーが定める厳格な品質基準と、手厚い保証制度にあります。まず、BMW正規ディーラーの専門メカニックが、エンジンやトランスミッション、そして最も気になるハイブリッドシステムに至るまで、最大100項目もの納車前点検を実施します。

この過程で、少しでも基準に満たない部品があれば交換・整備されるため、車両は最適なコンディションに整えられます。もちろん、修復歴のある車両は認定中古車の対象外となるため、過去に大きなダメージを負った車を買ってしまう心配もありません。

そして最大のメリットが、充実した保証です。多くの認定中古車には、購入後1年間、走行距離に関係なく適用される保証が付帯しています(車両の年式により保証内容は異なります)。

この保証期間中に、万が一エンジンやモーター、バッテリーといった主要部分にトラブルが発生しても、原則無償で修理を受けることが可能です。購入後の突発的な高額出費のリスクを劇的に軽減できるこの制度は、i8のような特殊なモデルを選ぶ上で、この上ない安心材料となるでしょう。

もちろん、こうした品質管理や保証にはコストがかかるため、一般的な中古車物件と比べると支払総額は高くなる傾向にあります。しかし、この価格差は「安心料」と考えることができます。

将来発生するかもしれない数百万円単位の修理費用リスクを回避できるのであれば、結果的に認定中古車の方が遥かにコストパフォーマンスに優れた選択であった、ということも十分に考えられるのです。i8という特別な一台だからこそ、リスクを最小限に抑え、心から走りを楽しむために、認定中古車は積極的に検討すべき選択肢と言えます。

i8に乗ってる人の年収は?所有できるオーナー像

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BMW i8の中古車価格が安くなっているとはいえ、「では、誰でも所有できるのか?」と問われると、答えは明確に「ノー」となります。この車を安心して維持するためには、車両の購入費用とは別に、高額なランニングコストを許容できるだけの経済力が不可欠です。具体的な年収としては、最低でも1,000万円以上が一つの目安となり、実際にはそれ以上の収入を持つ方がオーナー層の中心を占めていると考えられます。

その理由は、これまでにも触れてきた通り、i8が抱える維持費の高さにあります。年間数十万円に及ぶ自動車保険料や税金、車検費用はもちろんのこと、最も大きなリスクは突発的に発生しうる高額な修理費用です。特に、駆動用バッテリーの交換が必要となった場合には、数百万円単位の出費を覚悟しなければなりません。こうした不測の事態にも対応できる経済的な余裕がなければ、i8を所有し続けることは非常に困難でしょう。

このような背景から、i8を所有しているオーナー像はおのずと絞られてきます。まず考えられるのは、企業の経営者や役員、医師、弁護士といった、社会的地位と経済力を兼ね備えた方々です。彼らにとってi8は、単なる移動手段ではなく、自己表現やステータスを象徴するアイテムの一つとなります。また、IT関連企業の経営者など、新しいテクノロジーや未来的なデザインに強い関心を持つ富裕層にも、この車のコンセプトは深く響くようです。

さらに、もう一つのオーナー像として、純粋なカーマニアやコレクターが挙げられます。彼らは多くの場合、日常使いのための実用的な車を別に所有しており、i8は週末のドライブやイベント参加といった特別な機会にのみ使用します。このような乗り方であれば、走行距離を抑え、車両のコンディションを良好に保ちやすくなります。

いずれにしても、i8を所有するということは、その唯一無二の価値を理解し、維持コストを負担できるだけの特別なライフスタイルを持つ人々の特権と言えるのかもしれません。

値崩れの先に見える?i8のコレクターカーとしての将来性

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現在は新車価格から大幅に値崩れし、「安い中古車」というイメージが先行しているBMW i8ですが、この状況が未来永劫続くとは限りません。むしろ、自動車の歴史を振り返ると、i8のようなモデルこそ、将来的に「コレクターカー」として価値を再評価される可能性を十分に秘めています。現在の価格は、未来の価値への投資と捉えることもできるのです。

i8がコレクターカーとなり得る理由は、主に3つ挙げられます。第一に、その時代を超越したデザインです。2009年に発表されたコンセプトカー「Vision Efficient Dynamics」の姿を色濃く残したまま市販化されたi8のデザインは、登場から10年以上が経過した今見ても、全く色褪せることがありません。特に、BMWの量産モデルとしては極めて珍しいシザードアは、この車を唯一無二の存在たらしめています。

第二に、自動車史における歴史的な意義です。i8は、プラグインハイブリッド・スポーツカーという新しいジャンルを世に問い、カーボンファイバー強化樹脂(CFRP)をボディの基本骨格に採用するなど、数々の革新的な技術を搭載した、まさに時代の転換点を象徴する一台でした。これから電気自動車が主流となる未来において、エンジンとモーターが共存したこの過渡期の高性能モデルは、かえって希少な存在として語り継がれていくことでしょう。

そして第三の理由が、限定された生産台数です。約6年間の生産期間における総生産台数は世界でわずか2万台強。これは、大衆車とは比較にならない少なさです。生産が終了した今、この台数が増えることは二度とありません。

今後、時間の経過とともに状態の良い個体は確実に減少していくため、特に低走行の車両や限定仕様車、オープンモデルのロードスターなどは、希少価値がますます高まっていくと予想されます。もちろん、バッテリーの維持という大きな課題は残りますが、この問題に対する技術的な解決策が進めば、i8の市場価値は安定、そして上昇へと向かう可能性を秘めているのです。

BMW i8の中古がなぜ安いのか?総括

BMW i8の中古がなぜ安いか、その理由は2000万円超の新車価格からの大幅な値下がりに対し、数百万円にも及ぶバッテリー交換費用や高額な維持費という大きなリスクがあるためです。また、スーパーカーとエコカーの二面性を持つ特殊なコンセプトも価格に影響しています。購入時はデメリットを理解し、将来的な価値も見据えた慎重な判断が求められます。

記事のポイントをまとめます。

  • 新車価格は2,000万円を超えていたが、中古では600万円台から探せる
  • 中古価格が安い最大の要因は高額な維持費への懸念である
  • 駆動用バッテリーの交換費用は数百万円に及ぶ可能性がある
  • 特殊な構造ゆえ、事故時の修復費用も高額になりがちだ
  • 「不人気」ではなく、コンセプトが特殊でターゲット層が限定的だった
  • スーパーカーのデザインとエコカーの性能という二面性を持つ
  • 2020年の生産終了により、将来の部品供給に不安がある
  • BMWの中古車はi8以外も市場への供給量が多いため安くなる傾向にある
  • シザードアの使い勝手や限られた収納スペースは実用上のデメリットだ
  • 走行音はスピーカーによる演出で、純粋なエンジン音とは異なる
  • 適切なメンテナンスをすれば10年以上の長期保有も可能である
  • 高額な修理リスクを避けるならBMW認定中古車が賢い選択肢となる
  • 安心して維持するには年収1,000万円以上がひとつの目安になる
  • 生産台数が約2万台と少なく、希少価値は高い
  • 将来的にはコレクターカーとして価値が再評価される可能性を秘めている
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