
スバルのスポーツセダン、WRX S4は速すぎると言われるほどの性能で、多くのドライバーの心を掴んでいます。その具体的な最高速や加速 0-100のタイム、さらにはリミッター解除や馬力アップでどこまで性能を高められるのか、気になる点は尽きません。
しかし、いざ購入を考えると、「WRXのS4とSTIどっちが速い?」という永遠のテーマや、「WRX S4とレヴォーグ どちらがいい」といった実用性との比較で悩む方も多いでしょう。また、「売れない」という噂の真相や、実際にどんな人が買う人なのか、そして買って後悔しないためのポイントも知っておきたいところです。
この記事では、WRX S4の性能の真実から、気になる普段使いでの乗り心地、レギュラーガソリン使用時の影響まで、あらゆる疑問に深く迫ります。
- 具体的な加速性能とリミッターの存在
- STIやレヴォーグとの速さの質の違い
- 高性能の裏にある維持費や燃費の実態
- S4を選ぶべき人の具体的なユーザー像
WRX S4が速すぎると言われる理由と驚異の性能

- 最高速と0-100km/h加速タイムは?
- WRXのS4とSTI、どっちが速いのか比較
- リミッター解除で発揮される真の性能
- さらなる速さへ!馬力アップの方法と費用
- レギュラーガソリン使用で性能は落ちる?
最高速と0-100km/h加速タイムは?
スバルのスポーツセダン、WRX S4は、公道では十分すぎるほどの加速性能を誇ります。具体的には、0-100km/h加速タイムが約6.5秒、ローンチコントロールを使用すれば6秒を切ることも可能です。一方、最高速は国内の自主規制により180km/hでリミッターが作動する設定になっています。
この俊足ぶりを支えているのは、心臓部であるエンジンにあります。現行モデルにはFA24型と呼ばれる2.4リッター水平対向4気筒ターボエンジンが搭載されており、最高出力275ps、最大トルク375Nmを発生させます。このパワフルなエンジンが生み出す力を、スバル独自のシンメトリカルAWDシステムが四輪へ効率的に伝え、無駄なく加速力に変換します。
そのため、信号待ちからのスタートダッシュなど、日常のシーンでもその力強さを体感できるのです。最高速度については、リミッターによって制限されているものの、クルマ本来のポテンシャルはさらに高い領域にあることを示唆しています。
例えば、0-400mのタイムは約14.5秒というデータもあり、これはスポーツカーとして優れた数値です。他の一般的なセダンと比較すれば、その加速感の違いは歴然としています。アクセルを踏み込んだ瞬間から力強いトルクが立ち上がり、淀みなく速度を乗せていく感覚は、WRX S4ならではの魅力と言えるでしょう。以下の表に、WRX S4の主なパフォーマンスに関する数値をまとめました。
項目 | 数値(参考値) |
---|---|
エンジン形式 | FA24型 2.4L 水平対向4気筒DOHC直噴ターボ |
最高出力 | 275ps / 5,600rpm |
最大トルク | 375Nm / 2,000-4,800rpm |
0-100km/h 加速 | 約6.5秒(通常時) |
0-100km/h 加速(ローンチコントロール使用時) | 6秒未満 |
0-400m 加速 | 約14.5秒 |
最高速度 | 180km/h(リミッター作動) |
結論として、WRX S4の加速性能はスポーツセダンの名に恥じない、非常に高いレベルにあります。最高速こそリミッターで制限されていますが、その俊敏な走りは多くのドライバーを満足させるに違いありません。この性能を一度、試乗などで体感してみることをお勧めします。
WRXのS4とSTI、どっちが速いのか比較

サーキットでの純粋な速さを求めるならば「WRX STI」、一方で日常的な快適性とバランスの取れた速さを重視するならば「WRX S4」が適していると言えます。ラップタイムのような絶対的な速さの指標では、多くの場合WRX STIに軍配が上がります。
この違いが生まれる理由は、両車の成り立ちとコンセプトにあります。WRX STIは、スバルのモータースポーツ活動を象徴するモデルであり、伝統の高回転型エンジン「EJ20」と6速マニュアルトランスミッション(MT)の組み合わせが特徴です。ドライバーが意のままに操るダイレクトな操作感が、サーキットでのタイム短縮に直結します。
また、ブレンボ製ブレーキシステムや専用チューニングされた足回りなど、すべてが極限領域での走行を想定して設計されています。一方のWRX S4は、新世代のFA型ターボエンジンと、CVTをベースとした「スバルパフォーマンストランスミッション」を搭載。
低中速域から豊かなトルクを発生し、街乗りから高速巡航までをスムーズかつ快適にこなします。あくまでS4は、STIの持つ過激さを抑え、GT(グランドツーリング)性能を高めたスポーツセダンという位置づけなのです。
具体的な走行シーンを想像すると、その差はより明確になります。例えば、タイトコーナーが連続するサーキットでは、MTを駆使してエンジンを常にパワーバンドに保ち、強力なブレーキで突っ込む走りが可能なSTIが優位です。
しかし、運転支援システム「アイサイト」を備え、滑らかな加速が可能なS4は、長距離の高速道路走行などではドライバーの疲労を大きく軽減してくれます。どちらのモデルを選ぶかは、速さの「質」をどう捉えるかによるでしょう。
比較項目 | WRX S4 (VBH) | WRX STI (VAB Final Edition) |
---|---|---|
エンジン | FA24 (2.4Lターボ) | EJ20 (2.0Lターボ) |
トランスミッション | CVT (スバルパフォーマンストランスミッション) | 6速MT |
エンジン特性 | 低中速トルク重視 | 高回転・高出力型 |
主な得意ステージ | 街乗り、高速巡航、ワインディング | サーキット、ワインディング |
運転支援 | アイサイトX搭載 | 非搭載 |
コンセプト | 快適性も両立したスポーツGTセダン | ピュアスポーツ・ドライビングマシン |
このように、WRX S4とWRX STIは同じ「WRX」の名を冠しながらも、目指す方向性が異なります。どちらが速いかという問いへの答えは、あなたがどのような運転を楽しみ、クルマに何を求めるかによって変わってきます。それぞれの魅力を理解した上で、自身のスタイルに合った選択をすることが、最も満足度の高いカーライフに繋がるでしょう。
リミッター解除で発揮される真の性能
WRX S4のスピードリミッターを解除することで、本来秘められている240km/h前後、あるいはそれ以上の最高速性能を解放することが可能です。これは、車両が持つポテンシャルをサーキットなどのクローズドコースで最大限に引き出すためのチューニング手法の一つです。
WRX S4をはじめとする国産の自動車には、安全上の理由から180km/hで速度を制限するリミッターが標準で装備されています。このリミッターを解除するには、エンジンの動作を制御するコンピューター「ECU(エンジンコントロールユニット)」の内部データを書き換えるのが最も一般的で確実な方法です。
HKS社の「フラッシュエディター」といった市販のツールを使用し、専門のショップで施工してもらうケースが多く見られます。過去のクルマのように単純な配線加工でごまかすことは、現代の複雑な電子制御システムではほぼ不可能です。リミッター解除は、単に最高速の上限を引き上げるだけでなく、それに合わせて燃料噴射や点火時期、ブースト圧などを最適化するチューニングも含まれるため、クルマ全体のパフォーマンス向上に繋がります。
ただし、リミッター解除にはいくつかの重要な注意点が存在します。まず、公道で180km/hを超える速度を出すことは法律で固く禁じられており、極めて危険な行為です。リミッター解除の恩恵を受けられるのは、サーキットのような許可された場所に限られます。
また、ECUのデータを変更すると、メーカーの新車保証が受けられなくなる可能性が非常に高いです。さらに、エンジンやCVTといった駆動系への負荷が増大するため、車両の寿命に影響を与えるリスクも考慮しなければなりません。
特にWRX S4のCVTは、連続した高負荷走行では油温が上昇しやすく、保護制御によって一時的にパワーダウンすることもあります。そのため、リミッター解除と併せてCVTクーラーの装着など、冷却系の強化を検討することが推奨されます。
リミッター解除のポイント | 内容と注意点 |
---|---|
方法 | ECU(エンジンコントロールユニット)のデータ書き換えが一般的。 |
期待される効果 | 最高速度が240km/h前後に向上。エンジンの応答性なども改善。 |
法的注意 | 公道での最高速走行は法律違反であり、絶対に行ってはならない。 |
保証に関する注意 | メーカー保証の対象外となる可能性が高い。 |
車両への影響 | エンジンやCVTへの負担が増加。CVTクーラー等の冷却系強化が推奨される。 |
施工について | 専門知識を持つ信頼できるチューニングショップでの実施が必須。 |
結論として、リミッター解除はWRX S4が持つ真の性能を解き放つ、魅力的なカスタマイズの一つです。しかし、その実行にはメリットだけでなく、相応のリスクと法を遵守する強い意識が求められます。もし愛車のポテンシャルを最大限に引き出したいと考えるなら、まずは信頼できる専門家へ相談し、すべての条件を理解した上で慎重に判断することが、安全で楽しいカーライフを送るための鍵となります。
さらなる速さへ!馬力アップの方法と費用

WRX S4が持つポテンシャルをさらに引き出し、馬力アップを目指すことは可能です。ただし、目標とする出力によってチューニングの内容と費用は大きく異なります。手軽なECUの書き換えから、エンジン本体に手を入れる本格的なものまで多岐にわたるため、計画的なアプローチが重要になります。
馬力アップには費用がかかります。その理由は、クルマの性能向上は単一のパーツ交換だけでは達成できず、エンジン、吸排気系、冷却系、そして駆動系といった各部のトータルバランスを考えながら進める必要があるためです。
例えば、ECU(エンジンコントロールユニット)のデータを最適化するチューニングは比較的安価で効果を体感しやすい方法ですが、これだけでも数万円から十数万円の費用がかかります。
さらに400馬力といった高出力を目指す場合、より多くの空気を取り込むための大型ターボチャージャーへの交換や、それに伴う燃料ポンプ、インジェクターの強化、そして増加した熱量に対応するための大容量インタークーラーやラジエーターへの交換が不可欠となります。これらはクルマの性能を根幹から変える作業であり、専門的な知識と技術が求められます。
具体的な費用感を把握するために、チューニングメニューとその目安を以下の表にまとめました。これはあくまで一例であり、使用するパーツのメーカーや施工するショップによって価格は変動します。
チューニングメニュー | 費用の目安 | 主な効果と内容 |
---|---|---|
ECU書き換え | 5万円 ~ 15万円 | ブースト圧や燃料マップを最適化し、20~50ps程度の出力向上。 |
吸排気系チューニング | 5万円 ~ 30万円 | マフラーやエアクリーナー交換で吸排気効率を改善。レスポンス向上。 |
ターボチャージャー交換 | 30万円 ~ | より大型のタービンに交換。400馬力級を目指すなら必須のメニュー。 |
冷却系強化 | 10万円 ~ | インタークーラー、ラジエーター、オイルクーラー等の強化。性能の安定化。 |
エンジン本体強化 | 100万円 ~ | 強化ピストンやコンロッドに交換。高出力に耐えるための耐久性向上。 |
総合(400馬力目標) | 300万円 ~ 400万円 | 上記メニューに加え、駆動系やブレーキ強化など全体のバランスを取る。 |
このように、WRX S4の馬力アップはオーナーの夢を形にする魅力的なカスタマイズです。しかし、本格的なチューニングは新車がもう一台購入できるほどの費用がかかる可能性も秘めています。ご自身の予算と、どこまでの性能を求めるのかを明確にし、実績豊富で信頼できるチューニングショップに相談しながら、愛車との新たな付き合い方を計画していくことが後悔しないための鍵となるでしょう。
レギュラーガソリン使用で性能は落ちる?
はい、WRX S4にレギュラーガソリンを使用した場合、エンジンが本来持つ性能は確実に低下します。スバルが公式に指定している燃料は無鉛プレミアムガソリン(ハイオク)であり、レギュラーガソリンの使用は、あくまで給油所でハイオクが入手できない場合などの緊急時に限るべきです。
この性能低下の背景には、ガソリンの「オクタン価」とエンジンの「圧縮比」が関係しています。WRX S4に搭載されるような高出力のターボエンジンは、高い燃焼効率を得るために高圧縮比で設計されています。オクタン価の高いハイオクガソリンは、高い圧力や温度でも自然発火しにくい(ノッキングを起こしにくい)性質を持っています。
エンジンのECU(エンジンコントロールユニット)は、このハイオクガソリンを前提に、最も効率の良い点火タイミングなどを設定しています。しかし、オクタン価の低いレギュラーガソリンが給油されると、センサーがそれを検知し、ノッキングという異常燃焼によるエンジン破損を防ぐため、自動的に点火タイミングを遅らせるなどのセーフティ機能が働きます。
この制御によって燃焼効率が落ち、結果としてパワーやトルク、アクセルの反応が悪化してしまうのです。また、パワーが出ない分を補おうと無意識にアクセルを多く踏みがちになり、燃費が悪化するケースも少なくありません。
実際にレギュラーガソリンを使用すると、普段ハイオクを入れている時と比べて、発進時や追い越し加速の場面で「いつもより力が無い」「加速が鈍い」といった体感差として現れるでしょう。
一時的な使用であれば大きな問題にはなりにくいですが、常用し続けるとエンジン内部にカーボンが堆積しやすくなるなど、長期的なコンディションに悪影響を及ぼす可能性も否定できません。ハイオクとレギュラーの価格差は1リットルあたり10円程度ですが、燃費の悪化やエンジン性能の低下というデメリットを考慮すると、経済的なメリットはほとんど無いと言えます。
項目 | ハイオクガソリン(指定燃料) | レギュラーガソリン |
---|---|---|
オクタン価 | 高い | 低い |
エンジン性能 | 100%発揮できる | ECUの制御により性能が低下する |
体感できる変化 | 本来の力強い加速とレスポンス | 加速が鈍く、重く感じられる |
燃費への影響 | 基準となる燃費 | 悪化する傾向がある |
エンジンへの影響 | 最適な状態を維持 | 長期常用は非推奨(ノッキングリスク、カーボン堆積など) |
メーカーの推奨 | 指定 | 緊急時のみ可 |
結論として、WRX S4の持つ「速さ」を最大限に享受し、エンジンを良好な状態で長く維持するためには、メーカーが指定する通りハイオクガソリンを給油することが最善の選択です。緊急時を除き、日常的にレギュラーガソリンを使用することは、性能面でも経済面でも、そして愛車のコンディション維持の観点からも避けるべきでしょう。
WRX S4は速すぎる?購入前に知るべき注意点

- WRX S4を買って後悔する理由とは?
- 「売れない」は本当?販売状況の真相
- 速すぎる?気になる普段使いでの乗り心地
- WRX S4はどんな人が買う車なのか?
- WRX S4とレヴォーグ、どちらがいいか比較
WRX S4を買って後悔する理由とは?
スバル WRX S4を購入して後悔する可能性は、残念ながらゼロではありません。その理由は主に、このクルマが持つスポーツモデル特有の性質、具体的には「維持費の高さ」「硬めの乗り心地」「高性能を持て余してしまう」といった点が、購入者のライフスタイルや価値観と合わなかった場合に生じやすいからです。
WRX S4は高い走行性能を持つ一方で、その代償も存在します。一つは経済的な負担です。WLTCモードでのカタログ燃費は10.8km/Lと、現代のセダンとしては決して優れた数値ではなく、実燃費はさらに下回る傾向にあります。燃料はハイオクガソリンが指定されており、日々のガソリン代は家計に影響を与える可能性があります。
また、自動車税や任意保険料、さらには高性能なタイヤやブレーキパッドといった消耗品のコストも、一般的なセダンに比べて高くなることを覚悟しておく必要があります。二つ目の理由は乗り心地です。特に初代モデルの前期型(アプライドA~C)は、路面の凹凸をダイレクトに拾う硬質な足回りで知られています。
スポーツ走行を好むドライバーには心地よく感じられるかもしれませんが、同乗者や家族からは不満の声が上がるかもしれません。そして三つ目は、その高性能を持て余してしまうという点です。
300ps近い馬力は、日本の公道でその性能をすべて解放する機会はほとんどありません。日常の運転がメインの場合、「これほどのパワーは必要なかった」と感じ、オーバースペックであることがかえってストレスになる可能性も考えられます。
これらの後悔を避けるためには、購入前の入念な確認が不可欠です。以下の表に、後悔に繋がりやすいポイントと、それを避けるための対策をまとめました。
後悔する可能性のあるポイント | 購入前に確認すべきこと・対策 |
---|---|
燃費や維持費の高さ | 年間にかかる税金、保険、ガソリン代などを具体的にシミュレーションする。 |
硬めの乗り心地 | 必ず試乗し、できれば家族や友人を乗せて普段使いに近い環境で乗り心地を体感する。 |
高性能を持て余す可能性 | 自身の主な運転目的(通勤、レジャーなど)を考え、その性能が本当に必要か見極める。 |
CVTのフィーリング | マニュアルトランスミッション(MT)派の人は特に、S4のCVTの動作フィールが好みに合うか試乗で確認する。 |
内装の質感 | 同価格帯の他メーカーのセダンとも比較し、スポーティでシンプルな内装が自分の満足度に繋がるか検討する。 |
WRX S4が持つ数々の魅力は、これらのデメリットを理解し、受け入れた上でこそ真に輝きます。ご自身のカーライフにWRX S4の個性が本当にマッチするのかを慎重に見極めることが、購入後の「後悔」を「最高の満足」に変えるための最も重要なステップとなるでしょう。
「売れない」は本当?販売状況の真相

「WRX S4は売れていない」というイメージを耳にすることがありますが、これは必ずしも実態を正確に表しているとは言えません。月間の販売台数だけを見ると少なく感じるかもしれませんが、その背景にはセダン市場全体の縮小や生産体制の問題があり、実際には熱心なファンに支えられバックオーダーを抱える状況でもあるのです。
この「売れない」というイメージが生まれる要因はいくつか考えられます。
第一に、現在の日本の自動車市場ではSUVやミニバンが販売の中心であり、WRX S4のようなスポーツセダンというカテゴリー自体がニッチな存在になっています。その市場環境の中で見れば、WRX S4はむしろ健闘していると評価することも可能です。
第二に、世界的な半導体不足や部品供給の遅延問題です。これによりスバル全体の生産が需要に追いついておらず、結果として月々の登録台数が伸び悩んでいるように見えています。実際には、注文しても納車まで長い時間を要する状況が続いています。
第三に、現行モデルには伝統的なハードコアモデルである「WRX STI」のMT仕様が存在しないことです。これが一部の熱狂的なスバルファン層の選択肢から外れる一因となり、「WRXはSTIがないと売れない」という印象を強めている可能性があります。
具体的な販売台数を見ると、月販目標台数には届かない月が多いものの、同カテゴリーの他車種と比較して極端に劣っているわけではありません。また、2024年12月に行われた商品改良や特別仕様車の追加によって、翌2025年3月の販売台数が前年同月比で大きく増加したというデータもあります。
これは、WRX S4が改良や話題性によって販売が大きく動く、注目度の高いクルマであることを示しています。つまり、「売れない」のではなく、「生産が追い付いていない」あるいは「特定の層に深く刺さっているが、万人受けするモデルではない」というのがより正確な表現かもしれません。
「売れない」と言われる背景 | 実情・真相 |
---|---|
月間販売台数が少ない | スポーツセダン市場自体が縮小している中では健闘している。 |
生産が需要に追いついていない | 半導体不足などで生産に遅れがあり、バックオーダーを抱えている。 |
MTのSTIモデルがない | 一部の熱心なファン層からの需要を取り込めていない可能性がある。 |
高価な価格設定 | 400万円を超える価格帯のため、購入できるユーザー層が限られる。 |
結論として、「WRX S4が売れない」という表面的なイメージだけでこのクルマを判断するのは早計です。その裏には、市場の変化や生産上の課題、そして確固たるファン層の存在といった複雑な要因が絡み合っています。数字だけでは見えない、根強い人気とポテンシャルを秘めた一台であると理解するのが正しい見方と言えるでしょう。
速すぎる?気になる普段使いでの乗り心地
WRX S4は「速すぎる」と評されるほどのパフォーマンスを備えながらも、驚くほど普段使いの乗り心地にも配慮されています。特に電子制御ダンパーを搭載した現行モデルでは、ボタン一つでクルマの性格を変化させることができ、快適なファミリーセダンから俊敏なスポーツカーまで、一台で何役もこなすことが可能です。
この優れた両立性を実現している背景には、スバルの最新技術が投入されているからです。上級グレードである「STI Sport R EX」に採用されているZF製の電子制御ダンパーは、「コンフォート」「ノーマル」「スポーツ」といったドライブモードに合わせて足回りの硬さを瞬時に調整します。
これにより、普段の街乗りでは「コンフォート」モードを選ぶことで路面からの不快な突き上げを効果的にいなし、上質で快適な乗り心地を提供します。また、新世代のプラットフォームとフルインナーフレーム構造によってボディ剛性が飛躍的に向上したことも、しなやかな乗り心地の実現に大きく貢献しています。
さらに、運転支援システム「アイサイトX」の存在も、普段使いでの快適性を高める重要な要素です。高速道路での渋滞時に手放し運転を支援する機能などは、長距離移動の疲労を劇的に軽減してくれます。
例えば、平日の通勤では「コンフォート」モードでリラックスして運転し、週末に家族を乗せて出かける際も、後席の広さや快適な乗り心地で不満が出ることは少ないでしょう。
そして一人でワインディングロードに出かけた際には、「スポーツ+」モードに切り替えることで、エンジンレスポンスと足回りを引き締め、WRX S4が持つスポーツカーとしての本性を存分に楽しむことができます。このように、TPOに合わせてクルマのキャラクターを使い分けられるのが、現行WRX S4の大きな魅力です。
普段使いのシーン | WRX S4の強み(現行モデル) | 注意点 |
---|---|---|
市街地走行・通勤 | 「コンフォート」モードによる快適な乗り心地。スムーズなCVT。 | 燃費は一般的なセダンより劣る。 |
高速道路走行 | アイサイトXによる高度な運転支援。優れた直進安定性。 | 特になし。 |
家族でのドライブ | 4ドアセダンの実用性。広くなった後席。 | 乗り心地は快適だが、ミニバンほどの空間はない。 |
ワインディング走行 | 「スポーツ+」モードによる鋭い走りと一体感。 | 性能を使い切るには相応の運転技術が必要。 |
駐車 | 各種カメラによる支援機能が充実。 | 全幅が1,825mmと広めなため、狭い場所では注意が必要。 |
WRX S4は、ただ速いだけのクルマではありません。「速すぎる」ほどの性能を、日常のあらゆる場面で最適にコントロールし、乗る人すべてに快適さと安心感を提供する、非常にバランスの取れた一台です。スポーツ性能と実用性という、相反する要素を高い次元で両立させたこのクルマの懐の深さこそ、多くのユーザーを魅了し続ける理由なのです。
WRX S4はどんな人が買う車なのか?

スバル WRX S4は、「走る楽しさを知る大人のためのスポーツセダン」を求めるユーザーに選ばれています。具体的には、過去にスポーツカーを所有していた経験があり、現在は家族構成やライフステージの変化から、走行性能だけでなく安全性や日常の実用性も重視する、30代から50代の男性が中心的な購入者層です。
このクルマがそうした層に支持されるのには、いくつかの明確な理由があります。
第一に、ターボエンジンがもたらす力強い加速性能と、シンメトリカルAWDによる優れた走行安定性です。単なる移動手段としてではなく、運転そのものを楽しみたいという根源的な欲求を満たしてくれます。
第二に、SUVやミニバンが主流の現代において、あえて低重心でスポーティなセダンというボディ形状を選ぶという、スタイルへのこだわりです。
そして第三に、WRXの頂点である「WRX STI」がMT(マニュアルトランスミッション)専用車であったのに対し、S4は高性能なCVTを採用している点です。これにより、AT限定免許のユーザーや、家族とクルマを共有するためMT車を選べないといった現実的な制約を持つ人々の受け皿となっています。
さらに、スバルが誇る先進安全装備「アイサイト」が搭載されていることも、家族を持つドライバーにとって大きな安心材料となり、選択を後押しする重要な要素です。
例えば、若い頃にスポーツカーを乗り継いできたものの、結婚を機に一度はファミリーカーに乗り換えた、というユーザーが、子育てが一段落したタイミングで「もう一度、運転が楽しいクルマに乗りたい」と考えた場合、WRX S4は理想的な選択肢となり得ます。
昔ながらの走りの楽しさを提供しつつ、最新の安全性能と4ドアセダンとしての実用性を兼ね備えているからです。以下の表は、WRX S4を選ぶユーザーの主な特徴とその背景をまとめたものです。
WRX S4を選ぶ人の主な特徴 | その背景にある価値観や理由 |
---|---|
30代~50代の男性 | 経済的にも精神的にも余裕が生まれ、自分の趣味にお金をかけられる。 |
過去にスポーツカーを所有 | クルマは単なる移動手段ではなく、運転する喜びを求める。 |
セダンスタイルへのこだわり | 低重心でスポーティなフォルムを好み、走行性能の高さを重視する。 |
AT車であることを求める | AT限定免許や、家族との車両共用といった現実的な事情がある。 |
安全性能を重視する | 自分の楽しみだけでなく、同乗する家族の安全も最優先に考えている。 |
スバルブランドへの愛着 | 水平対向エンジンやAWDの走りに魅了された経験を持つリピーター。 |
結論として、WRX S4は、かつての情熱を胸に秘めつつ、現在のライフステージにおける責任も果たす、成熟したクルマ好きのための最適な一台と言えます。速さという刺激と、安全性という理性を高い次元で両立させている点こそが、このクルマが特定のユーザー層から熱烈な支持を受け続ける理由なのです。
WRX S4とレヴォーグ、どちらがいいか比較

WRX S4とレヴォーグは、どちらもスバルの走行性能と安全思想を色濃く反映した優れたクルマですが、どちらが良いかという問いへの答えは、あなたが「走りの純粋性」と「日常の利便性」のどちらをより重視するかによって決まります。
スポーティなセダンスタイルとシャープな走りを求めるならWRX S4、高い走行性能に加えて圧倒的な積載性を求めるならレヴォーグが、それぞれ最適な選択となるでしょう。
この二台は、現行モデルにおいてプラットフォーム、2.4Lターボエンジン、トランスミッション、そして運転支援システム「アイサイトX」といった主要なメカニズムの多くを共有する兄弟車の関係にあります。そのため、基本的な走行フィールや安全性は非常に近いレベルにあります。
しかし、決定的に異なるのがボディ形状です。WRX S4は伝統的な4ドアセダンであり、独立したトランクスペースを持つ構造からボディ全体の剛性を高く作りやすいという利点があります。これが、よりダイレクトでリニアなハンドリングフィールに繋がり、コーナリング時の限界性能を高めています。
一方のレヴォーグは、大きなテールゲートを持つステーションワゴンであり、広大な荷室空間がもたらす圧倒的な実用性が最大の魅力です。ボディ後方の剛性という点ではセダンに一歩譲るものの、その分サスペンションのセッティングをややマイルドにすることで、多くの人にとって快適な乗り心地を実現しています。
具体的な利用シーンを想定してみましょう。例えば、ゴルフバッグを4つ積んで仲間とゴルフに出かけたり、家族でキャンプ道具一式を積んで旅行したりするような使い方を頻繁にするのであれば、レヴォーグの積載能力は非常に魅力的です。一方で、積載性はそこまで重視せず、主に一人か二人で乗り、週末にはワインディングロードでクルマとの一体感を存分に味わいたい、という人にとっては、より走りに特化したWRX S4のキャラクターが光ります。
比較項目 | WRX S4 | レヴォーグ |
---|---|---|
ボディタイプ | 4ドアセダン | ステーションワゴン |
最大の強み | ボディ剛性を活かしたピュアな走行性能 | 広大な荷室がもたらす圧倒的な実用性 |
ハンドリング特性 | シャープでダイレクト | 安定性が高くマイルド |
デザインイメージ | アグレッシブ・戦闘的 | スタイリッシュ・スマート |
主なターゲットユーザー | 走りの楽しさを最優先したい人 | 走りも実用性も妥協したくない人 |
ファミリーユース | 十分可能 | より適している |
WRX S4とレヴォーグ、この二台の選択は、まさに自身のカーライフを映し出す鏡のようなものです。スペック上の優劣ではなく、あなたがクルマと共にどのような時間を過ごしたいかを深く考えることが、後悔のない選択へと繋がります。可能であれば、ぜひ両方のモデルを試乗し、そのフィーリングの違いをご自身の感性で確かめてみてください。それが、あなたにとっての「最高の相棒」を見つけるための、最も確実な方法となるはずです。
WRX S4が速すぎると言われる理由と魅力を総括
WRX S4は、速すぎると言われるほどの高い走行性能を持つスポーツセダンです。サーキットでの速さはSTIに譲るものの、チューニングの余地も魅力。一方で、維持費や乗り心地から後悔する声もあり、実用性を求めるならレヴォーグとの比較も重要です。その特性を理解し、走る楽しさを諦められないユーザーにとって最適な一台と言えるでしょう。
記事のポイントをまとめます。
- 0-100km/h加速は6.5秒、ローンチコントロール使用で6秒未満
- 最高速度は180km/hでリミッターが作動する国内仕様
- サーキット走行の速さではMT搭載のWRX STIが優位
- リミッター解除で240km/h前後の最高速性能を解放可能
- 400馬力級へのチューニングには数百万円単位の費用が必要
- 指定燃料はハイオクで、レギュラー使用時はエンジン性能が低下
- 後悔の主な理由は高めの維持費や硬質な乗り心地
- 「売れない」噂の背景に市場縮小や生産の遅れが存在
- 現行型は電子制御ダンパーで快適な乗り心地も両立
- 主な購入者層は30~50代の走りも実用性も求める男性
- 積載性を最優先するなら兄弟車のレヴォーグが比較対象
- セダンボディの高い剛性がシャープなハンドリングの要因
- 安全支援システム「アイサイト」が幅広い層からの評価を獲得
- 初代は年次改良(アプライド)で乗り心地が大幅に改善
- ECUチューニングはメーカー保証対象外となるリスクが伴う